杉並区みどりの条例は家を建てる時に大きく影響する

自然保護の一環で屋上緑化などを義務付ける条例を東京都が制定、それに倣って
杉並区でも「杉並区みどりの条例」という緑化推進の条例が制定されています。

杉並区に定住するなら杉並区みどりの条例は知っておくべき条例なのですが、
では杉並区みどりの条例は杉並区民にどういった影響が与えるものなのでしょうか?

杉並区みどりの条例は家の建設に大きく影響

杉並区みどりの条例は杉並区内で家を建てるのに大きな影響を及ぼします。

杉並区みどりの条例は簡単に言うと、杉並区内の既存のみどりを守り、
新たにみどりを作り増やしていくことを目的とした条例です。

既存のみどりが減らないような建設計画を立てる必要があって、もし建設によって
既存のみどりが減る場合には植栽などで減った分を補わないといけません。

家を建てる際に植え込みや生垣などを設置して、
みどりを減らさないだけでなく増やすことも求められます。

既存のみどりを減らさないためには、
杉並区内で家を建てる際には「場所」を慎重に検討することになります。

木が植わっている土地に家を建てるために木を伐採するなら、
伐採した以上の樹木を敷地内に植栽しなければいけません。

自然地盤の緑化が基本

杉並区みどりの条例では自然地盤の緑化が基本となっています。

東京都や他の区の条例だと、
自然地盤の緑化に加えて屋上緑化や壁面緑化が義務化されています。

しかし杉並区では屋上緑化や壁面緑化は自然地盤緑化ができない場合の
代替策でしかありません。

杉並区で家を建てる時には緑化計画に関する書類を提出する必要があり、
計画内容が認められないと計画書類の再提出や緑化工事のやり直しを求められます。

杉並区ではあくまで自然地盤の緑化が基本ですから、屋上緑化や壁面緑化を
前提とした緑化計画では認められない可能性もあるので注意してください。

新築だけでなく改築や大幅修繕でも緑化計画の策定が必要

杉並区みどりの条例では、
新築時だけでなく改築や大幅修繕の際にも緑化計画の策定が求められます。

改築や修繕の規模によっては新築時よりも提出する書類が少なくて済むことも
ありますが、緑化計画についての書類の提出が必要なことに変わりはありません。

ただ新築以外では緑化計画の策定が不要となるケースもあるので、
事前に区役所の担当窓口に相談するのがおすすめです。

緑化計画に助成金が出ることもある

杉並区みどりの条例では、
緑化計画の内容によっては事前に申請することで助成金が貰えることもあります。

例えば接道部いわゆる道路に面する部分の緑化に対して
 ・植え込み 1㎡当たり14,000円
 ・生垣 1m当たり12,000円
 ・フェンス緑化 1m当たり2,000円
の助成金が出ます。(個人の場合)

自然地盤の緑化が難しく、
代わりに屋上緑化や壁面緑化を行う場合も助成金が貰えることがあるのです。

屋上緑化は1㎡当たり25,000円、壁面緑化は1㎡当たり12,500円の助成金が出ます。

緑化計画で植栽した樹木や生垣などが「保護樹木等」に指定されると、樹木1本、
樹林100㎡、生垣1m当たりにつき維持管理費の一部が補助されます。

「みどりを守る、増やす」と言うのは簡単ですが、
実行するにはそれなりにお金がかかります。

緑化を義務化する代わりに内容次第では助成金や補助金が出るようになっているので、
条件をクリアしているならしっかり申請しておきましょう。

杉並区で家を建てる時に求められる緑化計画に関する書類

杉並区で家を建てる際には「建設確認申請書」など建設に必要な書類に加えて
緑化計画に関する書類の提出が必要です。

緑化計画に関する書類の提出が優先で、
建設確認申請書よりも前に提出しておかないといけません。

新築で敷地面積が200㎡以上は「緑化計画書」、
敷地面積が200㎡未満は「緑化計画概要書」を提出します。

家を新築するのに樹林などを切り拓く場合には、
敷地面積に関係無く「緑化計画概要書(開発行為用)」の提出も必要です。

緑化計画に関する書類にはそれぞれ添付書類も必要となっています。

緑化計画書を提出する場合は、緑化計画書に加えて
 ・基準計算書
 ・案内図
 ・現況図
 ・現況植栽一覧表
 ・現況カラー写真
 ・敷地求積図
 ・緑化計画図
 ・計画植栽一覧表
 ・緑地求積図
を添付しなければいけません。

緑化計画概要書の場合は「案内図」のみ、開発行為用は
 ・案内図
 ・敷地求積図
 ・緑化基準計算書または緑化基準計算内訳書
の添付が必要です。

計画書や計画概要書と添付書類を綴って一式にしたものを正副2部作って提出します。

「基準計算書」は、敷地と道路が接する部分の緑化延長や緑地面積、樹木の本数を
それぞれ計算したものです。

「案内図」は家を建てる場所を確認するためのもので、
家を建てる敷地と周辺が分かる地図となります。

「現況図」は家を建てる敷地に現在植わっている樹木を確認するもので、
樹木の位置や本数が分かるように撮影した写真です。

「現況植栽一覧表」は家を建てる敷地に現在植わっている樹木の種類や高さ、葉張り、
本数、保存状態などを記入した一覧表です。

ちなみに敷地に植わっている樹木が無い場合は、
現況図と現況植栽一覧表は不要となります。

「現況カラー写真」は家を建てる敷地の現在の状況が分かるように撮影した写真です。

「敷地求積図」は道路や隣の土地との境界線、接道部の長さを記入する書類です。

「緑化計画図」は、家を建てる時にどこをどのように緑化するのかが分かる
断面図や立面図となります。

「計画植栽一覧表」は、敷地に植栽する樹木の分類や種類、大きさ、本数、
既存か新植かなどを記入した一覧表です。

「緑地求積図」は緑地面積と面積を計算する上で根拠となる図面などを
記載したものです。

増改築や大規模修繕時に提出が必要な緑化計画に関する書類

新築時だけでなく家を増築したり改築したり、大規模な修繕を行う場合にも
杉並区では緑化計画に関する書類の提出が求められます。

増築の場合は、増築の延床面積が50㎡以上だと緑化計画書、
50㎡未満だと緑化計画概要書を提出します。

改築や大規模修繕の場合は、
敷地面積や改築・修繕に係る面積に関係無く緑化計画概要書の提出が必要です。

新築時と同様に添付書類も必要で、計画書や計画概要書と添付書類を綴って
一式にしたものを正副2部作らないといけません。

緑化計画に変更が生じたら

緑化計画書や緑化計画概要書を提出した後に、緑化計画に変更が生じたり、
建設計画自体が中止になった場合は「変更届」「取下げ届」の提出が必要です。

緑化計画自体に変更が生じた場合だけでなく、緑化計画書や緑化計画概要書に
記載した内容に変更があると変更届を提出しなければいけません。

例えば、計画書を出した後に敷地の境界線を確定させたら
敷地面積が変わったといった場合なども変更届の提出が必要となります。

緑化計画概要書の添付書類は案内図だけなので、
緑化計画概要書提出後に変更が生じた場合は変更届だけでOKです。

緑化計画書の内容に変更が生じた場合は、
変更内容が分かる敷地求積図や緑化計画図などの添付が必要です。

建設計画自体が中止になった場合は「取下げ届」のみの提出で、
特に他に書類を添付する必要はありません。

工事が終わったら完了届の提出

実際に家の建設工事が終わったら緑化計画の完了届を提出します。

みどりを守る増やす計画を立てるだけではダメで、
実際に計画を実行したことを報告しないといけないわけです。

緑化計画書を提出している場合は、緑化完了届に加えて
 ・緑化完了図面
 ・完了植栽一覧表
 ・完了カラー写真
 ・緑地面積求積図
といった添付書類の提出も求められます。

緑化計画書の提出時と同様に、
緑化完了届と添付書類を綴って一式したものを正副2部作成して提出します。

緑化計画概要書を提出している場合は緑化計画概要完了届を正副2部提出すれば
OKで、添付書類は必要ありません。
(開発行為用も同様)

完了届提出後には現場確認も行われる

緑化計画・緑化計画概要の完了届を提出した後には
区役所担当者による現場確認も行われます。

計画書や概要書、完了届に記載されている内容と実際の緑化工事の内容に
相違がないか確認するわけです。

相違があれば緑化工事のやり直し、
改めて変更届を提出してからの完了届の提出といったことが必要となります。

緑化計画書を提出している場合は、完了届に添付された写真のみで
確認することもあれば現地に担当者が出向いて確認することもあります。

担当者が出向いての確認では施工主や工事担任者の立ち会いが必要です。

緑化計画概要書を提出している場合は、完了届に写真を添付しないので
現地に担当者が出向いて確認を行いますが立ち会いは不要です。

開発行為用の緑化計画概要書を提出している場合は、
完了届提出後の現地確認はありません。

緑化推進の効果

東京都に限らず全国の自治体で緑化計画に関する条例が制定されていますが、
緑化を推進することでどういった効果が見込めるのでしょうか?

緑化を推進することで見込める1つの効果としては「生理的・心理的効果」が
挙げられます。

緑色には安らぎや落ち着きといったイメージがあり、
緑色が目に入ることでリラックス効果やストレス軽減効果が期待できるのです。

ハーブなど一部の植物が発するアロマテラピー作用が期待できる香りを吸い込むことで、
気持ちの落ち着きや爽快感が得られます。

もう1つは「環境改善効果」です。

植物が二酸化炭素を吸収することはよく知られていますが、
二酸化窒素や自動車の排気ガスなどに含まれるオキシダントも吸収します。

空気中に含まれる微細な塵も吸着してくれるので、
植物が増えることで空気がキレイになる効果が期待できるのです。

緑色は黒色と並んで熱吸収力が高く、植物の葉から水分が蒸発する時に周囲の熱を
奪うため植物が近くにあると自然の冷却効果も得られます。

まとめ

杉並区で家を建てる場合には、
杉並区みどりの条例に基づいた緑化計画を策定しなければいけません。

専門的な知識を必要とする書類も含まれているので、家を建てる際には
施工会社や区役所窓口で事前に緑化計画について相談しておきましょう。

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