杉並区の5時のチャイムは時間を知らせるものではなかった!

夕方に流れるチャイムを聞くと「子供の頃はこれを合図に家に帰ってたなぁ」と
懐かしい気持ちになる人も多いと思います。

東京の杉並区でもいわゆる5時のチャイムが流れていますが、
この5時のチャイムにはどういった意味があるのでしょうか?

5時のチャイムは防災無線の点検

杉並区などで流れているいわゆる5時のチャイムは、時間を知らせるための
ものではなく「市区町村が設置している防災無線の点検」のためのものです。

防災無線は警報や緊急地震速報などの発令を知らせる、災害時に避難を呼びかける
など緊急性を伴う行政情報を住民に知らせるのに使われます。

杉並区では公立の小中学校や区立施設などを中心に124か所に防災無線が
設置されています。

最近はメールやLINEなどでも情報を発信していますが、携帯電話が一般的に
普及するまでは防災無線は市区町村の貴重な情報発信手段でした。

現在でもお年寄りなどの情報弱者にとっては、
防災無線は市区町村が発信した情報を受け取るための貴重な手段です。

緊急事態が発生した時に防災無線が使えないようでは意味が無いので、
いわゆる5時のチャイムを流すことで点検をしているわけです。

子供に帰宅を促す目的もある

いわゆる5時のチャイムを流す主たる目的は防災無線の点検ですが、
もう1つ「外で遊んでいる子供に帰宅を促す目的」もあります。

40代以上の人が子供の頃は携帯電話なんてものはありませんし、
普段から腕時計などを持ち歩くこともほとんどありませんでした。

そのため公園など外で友達と遊んでいると時間を忘れ、気が付くと暗くなっており、
慌てて家に帰って親に叱られるといったこともあったのです。

時計を持たずに時間を忘れて遊ぶ子供に、
いわゆる5時のチャイムで時間を知らせて帰宅することを促しているわけです。

ただ最近は小学生でも携帯電話を持っているのが当たり前となっており、
暗くなるまで遊んでいると親から電話がかかってきます。

最近は時計代わりにはならなくなってきているものの、
子供に帰宅を促す目的としてもいわゆる5時のチャイムは流されています。

5時のチャイムは5時に流れていない!?

いわゆる5時のチャイムの主たる目的は防災無線の点検で、
時間を知らせるために流しているわけではありません。

そのためいわゆる5時のチャイムが夕方の5時以外の時間に流れることもあるのです。

杉並区では10月から翌年の3月にかけては夕方5時にチャイムが流れますが、
4月から9月は夕方6時にチャイムが流れるようになっています。

23区全体で見ると
 ・中央区
 ・新宿区
 ・台東区
 ・江東区
 ・北区
 ・板橋区
 ・練馬区
 ・墨田区
では秋から冬にかけては夕方4時30分にチャイムが流れます。

中野区や荒川区は時期によって夕方4時ですし、
足立区と葛飾区いたっては年に4回も夕方のチャイムが流れる時間が変わるのです。

子供に帰宅を促す目的もありますが、
明確な時間を知らせるのではなく「そろそろ暗くなる時間ですよ」と知らせています。

そろそろ暗くなる時間を知らせるので、秋から冬にかけては流れる時間が少し早くなり、
春から夏にかけては時間が遅くなるというわけです。

夕方のチャイムが流れない地域もある

夕方のチャイムは日本全国の自治体で流れているわけではなく、
流れていない地域もあります。

例えば東京都内だと文京区では夕方にチャイムを流していませんし、
東京以外だと横浜市でも2012年頃までは夕方のチャイムが流れていませんでした。

文京区では、住民が防災無線に慣れてしまって本当に必要な時に
情報が伝わりにくくなることを懸念して夕方のチャイムを流していないとのことです。
(防災無線の点検は別の方法で行っている)

横浜市は2012年頃まで何と防災無線を設置していなかったので、
夕方のチャイムが流れることはありませんでした。

現在は沿岸部を中心に防災無線が整備されており、
一部聞こえない地域もありますが横浜市でも夕方のチャイムが流れています。

山に囲まれているなど地形によっては防災無線の音声が広く届きにくいこともあって、
防災無線自体を設置していない自治体は少なくありません。

文京区のように防災無線を設置していても流していない自治体もあり、
夕方のチャイムは全国共通のものではないのです。

夕方のチャイムを流す時間は変えてもらえる?

地域によって違いはあるものの、夕方のチャイムは流れる時間が決まっていますが、
チャイムを流す時間を変えてもらうことが実はできます。

実際に東京の板橋区では、それまで4月~9月は6時、10月~3月は5時に
流していたチャイムをPTAの要望でそれぞれ30分早めています。

それに対して小学生が中心となってチャイムを流す時間を30分遅らせるように
区議会に要望書を提出するといったことも行われているのです。

残念ながら小学生の要望は通りませんでしたが、PTAの要望は通っているので
正当な理由があれば夕方のチャイムを流す時間を変えてもらうことは可能です。

ただし要望しても簡単に変えてもらえるものではありませんし、「うるさい」などといった
理由では変えてもらえませんし流すの止めてもらうこともできません。

夕方のチャイムが姿を消す地域もある

防災無線の点検や子供に帰宅を促す目的で流される夕方のチャイムですが、
姿を消す地域も出てきています。

千葉県富津市は2022年6月、
京都府宮津市は2022年7月に夕方のチャイムを流すことを止めました。

富津市では夕方のチャイムとは別に「見守りのお知らせ」を防災無線で流しており、
時期によっては30分間隔で2回放送が流れていました。

「短時間で2回の放送は多い」という住民の声が以前が多くあったそうです。

働き方の多様化で夕方に寝ている人も少なくないこともあって、2022年7月からは
夕方のチャイムのすぐ後に見守りのお知らせを流すように変更したのです。

厳密には富津市では夕方のチャイムは無くなっていませんが、
見守りのお知らせに吸収された形になっています。

宮津市では正午と夕方5時30分に点検のためにチャイムを流していました。

2024年4月に地域の消防本部の指令センターが一元化されるのに伴って、
宮津市内で使われる防災無線のシステムが変更されることになったのです。

市内100か所以上に設置されている全ての防災無線を新システムに対応させるには
多額の費用がかかるとして、正午と夕方の提示チャイムを取りやめました。

アナログ無線はノイズが多いので聞き取りにくい上に混信のリスクもあるので、
総務省が中心となって防災無線のデジタル化を進めています。

デジタル化するには新しいシステムを構築する必要があり、
そのためには多額の費用が必要です。

予算に余裕のある自治体はそれほど多くありませんから、防災無線のデジタル化に
伴って今後夕方のチャイムを止める自治体が他にも出てくるかもしれません。

夕方のチャイムは「夕焼け小焼け」だけじゃない

夕方のチャイムと言えば「夕焼け小焼け」を思い浮かべる人も多いでしょうが、
夕焼け小焼けが夕方のチャイムの定番というわけではありません。

東京23区内では杉並区を始めとして
 ・足立区
 ・板橋区
 ・江戸川区
 ・大田区
 ・葛飾区
 ・北区
 ・品川区
 ・渋谷区
 ・新宿区
 ・墨田区
 ・練馬区
 ・千代田区
 ・港区
の14区で夕焼け小焼けが夕方のチャイムとして流れています。
(音源が違うことはある)

江東区・世田谷区・中央区では「キンコンカン」という学校のチャイムでもお馴染みの
「ウエストミンスター寺院の鐘」が採用されています。

豊島区は童謡「ふるさと」、中野区はドボルザークの「家路」、
荒川区と目黒区はそれぞれ区民歌が夕方のチャイムで流れているのです。

23区外に目を移すと、小金井市では「イッツアスモールワールド」、
小平市は「エーデルワイス」「七つの子」などを夕方のチャイムに使用しています。

狛江市と調布市は荒川区などと同様に市民歌を夕方のチャイムとして流しています。

23区外でも夕焼け小焼けを採用している自治体が多いですが、それ以外の童謡や
クラシック、地域の歌なども夕方のチャイムとして使用されているのです。

童謡やクラシック以外の楽曲を使っている自治体もある

東京では夕焼け小焼けなどの童謡、ウエストミンスター寺院の鐘、
ドボルザークの家路などのクラシックが夕方のチャイムの定番となっています。

ところが東京以外に視野を広げてみると、童謡やクラシック以外の楽曲を
夕方のチャイムとして採用している自治体も少なくありません。

例えば北海道樺戸郡新十津川町では家路が夕方のチャイムに使われていますが、
ドボルザーク作曲の家路ではなくさだまさしさん作曲の家路です。

2019年にさだまさしさなんが新十津川町の応援大使に就任したことをきっかけに
夕方のチャイムとして使用されるようになったそうです。

新十津川町以外にも
 ・岩手県閉伊郡大槌町 ひょっこりひょうたん島のテーマ
 ・宮城県本吉郡南三陸町 残酷な天使のテーゼ(新世紀エヴァンゲリオンのテーマ曲)
 ・福島県須賀川町 ウルトラセブン
 ・茨城県笠間市 明日があるさ(坂本九)
 ・千葉県館山市 Forever Love(X Japan)
 ・東京都八王子市 守ってあげたい(松任谷由実)
などの歌謡曲・ポップスを防災無線から流れるチャイムとして使用しています。

それぞれの自治体の出身者やゆかりのある人物が作曲・歌唱している楽曲を
チャイムに採用することもあるようです。

区民歌のようなオリジナルの楽曲を使っている自治体も多いですし、
チャイムのために作った曲を使う広島県廿日市市宮島のような自治体もあります。

まとめ

杉並区の夕方のチャイムは夕焼け小焼けで、
チャイムを流す目的は防災無線の点検と子供に帰宅を促すことです。

夕方5時と決まっているわけではなく、
杉並区では季節によって夕方のチャイムを流す時間が変わります。

自治体によっては歌謡曲やポップスを使用していることもあるので、
旅行先で夕方のチャイムに耳を傾けてみると新しい発見があるかもしれません。

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